母の介護申請を終え、月に一度のペースで実家へ帰省するようになった私を待っていたのは、想像を絶する「同居人」たちとの戦いでした。
夜、家の明かりを消して布団に入ると、静寂を切り裂くように聞こえてくる「カサカサ……」という乾いた音。続いて、ガラスの引き戸を駆け上がる「ガタガタッ!」という不穏な振動。一緒に連れてきた愛犬のココも、その気配に敏感に反応し、夜の闇に向かってけたたましく吠え立てます。
たまらず電気をつけて起き上がれば、そこには数匹のネズミが霧が晴れるようにサーッと逃げていく光景。 「一体どうなってるの、この家は……」 思わずこぼれた溜息に、母は平然と「古い家だからね、仕方ないんだよ」と笑います。
いいえ、お母さん。古いからではありません。 原因は、あちこちに散らばった「ネズミにとっての天国」です。三角コーナーに放置された生ゴミ、ふんわりとラップをかけただけの食べ残し、口が開いたままのこたつ上の菓子袋……。それらが積み重なった数十年という月日が、彼らを呼び寄せ、居座らせてしまったのです。
掃除をしても、掃除をしても、どこからか現れる黒い粒のような糞。そして、家に入るたびに鼻をつく、染み付いた独特の臭い。 「もう、耐えられない!」 家の中だけの問題ではありません。このままではご近所の方々にも迷惑をかけてしまう。
「駆逐してやる、一匹残らず……!」
脳内に響くのは、あのアニメの主人公のような悲壮な決意。 こうして、私の「実家奪還作戦」という名の、長く険しいネズミとの戦いが幕を開けたのです。
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